忙しい合間を縫って英語の勉強を続けてきて、ある程度読んだり聞いたりには慣れたもののいざ話してみようとすると口が回らず全く英語が出てこない…。
いきなり英会話教室に行くのもお金と時間がかかるし、そもそも全く話せないと恥ずかしい…。
この記事では、これからスピーキングの練習を始めたいという人、もしくは今まで何度か挑戦したけれど結局話せるようにならないうちに挫折してしまった、という人向けに、自宅でひとりでできるスピーキング上達のための効果的な練習方法をご紹介します。
スピーキング初心者が目標設定するときに知っておきたいこと
練習を始める前に、スピーキングがどの程度できるようになりたいのか、目標を設定してみてください。
この目標設定は非常に重要なのですが、ここでスピーキング初心者が陥りがちな勘違いがあり、その勘違いをしたまま練習を始めてしまうと成果を感じにくくなり途中で諦めてしまいやすくなります。
以下はとても重要なのでしっかりと読んでから先へ進んでください。
いきなりペラペラを目標にしない
「スピーキングが出来る」というと、ドラマや映画のネイティブのように話しているシーンを思い浮かべがちです。確かに誰もが憧れる状態ではあります。
しかし「これからスピーキングを頑張ろう!」という人がこの状態を目標にするのはおすすめできません。
なぜなら、「スピーキング」と言っても0から1とスイッチを切り替えるようにできるようになるものではなく、0から1の間には数多くのグラデーションがあるのです。
イメージとしては、登山をするようなもの。頂上にたどり着くには五合目を無事に乗り越えなくてはいけません。
どうしてこんな当たり前の話をしているかというと、これまでコツコツと努力して英語の実力を積み上げていった人でも、なぜかスピーキングというと「ネイティブのように話せなければ話せるとは言えない!」と身構えてしまうからです。
スピーキング上達には時間がかかります。さらにネイティブ並みを目指そうとすると、いつ到達出来るか分かりません。
にもかかわらず、なかなか理想のネイティブ並の状態にならないことでフラストレーションが溜まり、「やっぱり私はスピーキングができない!」と諦めてしまいがちです。もったいない!
大切なのは「コミュニケーションがスムーズに行える」ことです。
それってどんなレベル?
もちろん場面によって求められるレベルは変わりますが、外国語運用能力を測る指標にCEFR(セファール)というものがあります。
そこで目指していただきたいのは、ここでいうB2です。B2は中上級レベルで、幅広いトピックについて明確で詳細な文章を作れる状態を指し、母国語でない外国語話者が目指すべきレベルです。
外国語として頑張っていますが、試験官とはきちんと意思疎通がきちんと出来ていて、表現力もあります。
ちなみにC1とB1レベルも見てみましょう。C1はかなり流ちょうですが、それでも「ネイティブ並み」ではないことが分かるでしょう。大事なのは
言いたいことをきちんと表現できてコミュニケーションが取れること。
B1の方は英語というより単に準備不足な感じもしますが…。
C1
B1
最初にスピーキングの目的を決める
そこでおすすめしたいのが、自分自身のスピーキングの目的を決めること。それも出来るだけ具体的に。
仕事で英語を使う機会が出てきたのに話せないという差し迫った状況もあるでしょうし、これから英語を使う仕事に転職したい、海外留学してみたい、もしくは外国人の友達を作って交流したい、というものでも何でも構いません。
ここで、ちょっと考えてみてください。
いかがでしょうか?
ワクワクするような、もしくは切羽詰まった目的を思い浮かべられましたか?
その目的に達成するために、まずはスピーキングの基盤を作っていきます。
家を建てるときは、どのような家であれ、しっかりとした基礎が必要です。
同様にどのような目的に対しても、共通して大切なスピーキングの基礎があります。
既にお伝えしたように、スピーキングで大切なのは
「英語でコミュニケーションがスムーズに行える」こと。
この「コミュニケーションがスムーズに行える」状態になるため、スピーキングの基礎の部分として
「自分の意見を主張できるようになる」ことを目指したいと思います。
ここではあえてTOEFL iBT〇点、IELTS〇〇という点数、もしくは英検〇級とは言いません。もちろん、目的によっては必要な点数があると思いますので、その場合は点数を目標にしてもらってかまいません。
いずれの英語試験を目指すにせよ、目指さないにせよ、B2レベルに行くためには自分の考えをロジカルに英語で話すことは避けて通れません。
ご自分の目的を達成するために、まずは「英語で自分の意見を主張できるようになる」ことを目指しましょう。
ただB2レベルの動画を見ていただいても分かる通り、スピーキング初心者にとってはB2レベルに行くまでも簡単ではありません。大量のインプットとアウトプットが必要になります。「〇〇さえできれば大丈夫!」とか「たった〇日でできるようになる」とはなかなか言えないため、途中で諦めてしまう可能性が高いのも事実です。
しかし諦めることなく学習を続けるための効果的な方法はあります。
以下では、B2レベルを目指して、ひとりでも挫折しないで続けられる練習方法をご紹介します。
英語は積み重ねなので、ある程度の練習期間が必要です。
その時にストレスなくできる日々の練習方法として、
- (ほぼ)ひとりで
- スキマ時間を使って
- 習慣にしやすい簡単なことを
- できるだけ楽しくできる
ものを目的別にご紹介します。
ひとりで出来る短期間でスピーキング力を伸ばす方法
口を英語に慣らす
まずは、口・顔の筋肉、また喉の使い方を英語仕様にしていきましょう。
前提として、英語と日本語では筋肉の使い方や使う箇所が変わってきます。
ご自分の顔や口、喉を楽器だとイメージしてみてください。
どんなに頭の中で英文を組み立てても実際にはこの楽器を通して相手に伝えるので、良い音が出るようにエクササイズをして鍛えていきます。こちらのいいところは、筋トレと同じく、続ければ誰でも鍛えられることです。
始めからネイティブ並の発音を目指す必要はありませんが、話し方は一度くせになってしまうと直すのが難しいため、知識として持っておいて普段話すときに意識することが大切です。
また、この違いをきちんと知っておくことでリスニングも飛躍的に向上します。
顔の筋肉を鍛える
まず鍛えたいのは顔の筋肉です。
ちょっと鏡の前でご自身が英語で話しているときの顔を見てみてください。もしかすると口元が少し動いているだけで顔全体はほとんど使っていないかもしれません。
一方、海外のニュースキャスターは「疲れないのかな?」というほど顔を動かし、なんなら頭ごと動かしながら話しています。
顔全体の筋肉と口周りの筋肉を鍛えることで、英語の単語やフレーズを詰まったりもたついたりせずにアウトプットできるようになります。
また、英語らしく聞こえるようにするにはイントネーションをマネすることが有効です。
そのためには息を強く吐いて強弱をはっきりさせたいので、腹式呼吸をして声が大きく出るようにします。日本語のボイストレーニングと同じですね。
以下に面白く続けられそうなYouTube動画を載せておきますが、網羅的に英語の顔を鍛える方法を知りたい場合、書籍『聞ける!話せる!英語力3カ月トレーニング』がおすすめです。日本語と英語のリズムの違いの説明や、楽しい文章を題材に聞き取りやシャドーイング練習のエクササイズを紹介しています。
- 毎朝1分でできるウォームアップ。テンションも上がります。
ちなみに最後に言っている早口言葉はこちら
- 5分ちょいなのに盛りだくさんの内容です。1日の終わりのリラックスにも。
- 毎朝行いたい深呼吸。力強くてクリアに声を出すために。
英語喉を意識する
顔の筋肉を鍛えたり腹式呼吸の練習の他に、「英語喉」という考え方をご存知の方もいるかもしれません。
こちらの書籍に詳しいですが、普段の日本語とは全く違う喉の使い方を学ぶ必要があります。なぜなら、日本語は喉を緊張させながら一音一音短く発するのに対して、英語は喉をリラックスさせてのびやかに音を響かせるという違いがあるからです。
筆者もなじみがなく最初はピンとこなかったものの(まだまだ練習中です)、確かに力を抜いて喉から声を出すとグンとネイティブっぽく聞こえます。また英語喉の概念を意識すると、聞こえてくる英語もこれまでよりも立体的にクリアに聞き取れます。
CDが付属されていますが、YouTubeでもほぼ同じ練習問題の内容を聞くことができます。
- 喉をリラックスさせる方法。ガチガチに緊張しているときにも。(4分28秒からエクササイズ)
音読やシャドーイング練習で気を付けることと素材の選び方
顔や喉を英語仕様にしたら、さらに実際の英語のスピードやイントネーションに慣れるためにネイティブの真似をします。音読やシャドーイングです。
音読をすることでネイティブはどこで息継ぎをするのかや、話すスピードを文章を見ながら確認して体感できます。
またシャドーイングでは単語や前置詞が文章の中でどの配置で使われているのかを理解しておく必要があり、そのうえでネイティブのスピードについていこうとするかなりハイレベルな練習方法です。
そのため、真面目にやるとどちらもかなり労力がかかります。しかも一回だけでは身につかないため繰り返し同じ素材で練習するのが効果的です。
これらの練習で気を付ける点は、
- ある程度の長さがある素材を選ぶこと(1分くらいでもいいですが、1文のみは避けたい)
- きちんと内容を理解していること
- 使われている単語やフレーズを分かっていること
- ネイティブの音をよく聞くこと(特に息継ぎや強弱、省略しているところ)
素材は文章とネイティブの音読を両方手に入れられるもの。
何度も繰り返し読んでも苦痛にならないように、ご自分が楽しめるものを選ぶことをおすすめします。
いきなり難易度の高いものを選ぶ必要はありませんが、好きなドラマや映画をトランスクリプトを片手に読んでみたり、同様に学習者向け洋書ラダーシリーズの音声をaudiobookなどから引っ張ってきたり…。
手軽なのはTEDトークです。いいなと思った話し手のトランスクリプトをサイトから手に入れて本人になりきって一部完コピに挑戦するのも楽しいです。
Youtube上には音読やシャドーイング練習の素材が本当にたくさんありますが、面白みのない初心者向けよりもご自分のテンションが上がるものに集中する方が楽しく続けられます。
ちなみに筆者のお気に入りのTEDはこちら。つい笑ってしまう話の運びで表現も難しくありません。(話すのはものすごく速いけど)
話し手の熱意をマネするために普段はしないくらいテンション上げます(笑)。
トランスクリプトはこちらから。
もしもなかなか興味のあるものが見つからない、もしくは探すのが面倒、という方には、こちらの本がおすすめ。
これからTOEFLを受けようとする人に向けの参考書ですが、段階的に練習できるように比較的短いパッセージをシャドーイング(すぐ後にかぶせて発話すること)やリピーティング(シャドーイングよりもかたまりごとに覚えて再現すること)できるようにスロースピードにしたりポーズを入れたりと練習しやすく構成されています。
単語や表現のインプット
さて次は、英単語やフレーズのインプットです。どんなに文法をきちんと理解しても語彙が少ないと話が広がりません。ずっとgoodやveryを使うのは「ヤバい」を連発しているみたいなので避けたいです(笑)。
しかしこの一番地道な単語の暗記作業。苦手な人も多いと思います。
かくいう筆者も単語帳での勉強は大の苦手…。
自分に合ったやり方を見つけてコツコツ覚えていくのがいいですが、ある程度の量を覚えなくてはいけない場合はどうしたらいいのでしょうか?
ここでも目指したいのは、
楽しんで続けられるかどうか。
あまり好きではない作業を楽しくできるようになればこっちのものです!
筆者おすすめの方法をご紹介します。
用意するものは、
- 単語帳もしくは動画や本で分からなかった単語をまとめたもの
- ChatGPT
- Ankiアプリ
単語暗記の難しいところはすぐに覚えられる単語もあればすぐに忘れてしまう、もしくはなかなか覚えられない単語があるところ。
何周も繰り返すのは重要ですが、どの単語にも同じ時間をかけるのは非効率です。
そこで、すぐに覚えられるものは時々復習し、なかなか定着しないものは同じ日に何度でも見直せるようにしておくことが重要です。
しかし単語帳だと優先順位をつけづらく、さらになかなか先に進まず、だんだんと開くのもおっくうになってきてしまいます…。
そんなときにおすすめしたいのがアプリの活用です。
一度アプリを開けば半強制的にクイズ形式でどこでも楽しく覚えられます。
最近は英単語だけでもかなりの数のアプリがあって使いやすいものも多い印象です。
しかし、ここはあえて自分用にカスタマイズしたものを使います。
そこで使うのが有名なAnkiアプリ。フラッシュカードを作ってくれるアプリです。
個人の忘却曲線に合わせて忘れそうなタイミングで何度も出してくれます。
クイズ形式と言うのも重要で、ただ英単語と日本語訳の羅列を目で追っていくだけだと頭に定着しません。
ただAnkiアプリはiOSだと3500円というなかなかのお値段。(Androidは無料)
しかし買い切りで購入すればいくらでも好きに使えますし、十分元が取れる役立つアプリだと思っています。それに使い方を色々と工夫すれば英単語だけでなく図やグラフなどの文章題などまるまるフラッシュカードにすることができて活用できる幅が広いです。
それでは、単語をAnkiアプリに入れるまでの流れをざっと説明します。
以下がおおまかな流れです。
英単語をエクセルにまとめる。(英単語と日本語訳を列を分けて入力)
↓
ChatGPTに例文を作ってもらう。(ここが大事!)
↓
エクセルに列を変えて例文を追加。
↓
メモ帳にコピペ。
↓
Anki(PC版)で読み取り
↓
例文それぞれに音声を追加(ここも大事!)
↓
Anki(PC版)で完成!練習するのはアプリから。
最初に、覚えたい英単語をエクセルにまとめます。
お手持ちの単語帳からでもいいのですが、1ページ目から数千単語全部Ankiに入れよう!などとは考えないでください。張り切って完璧主義に走ると挫折します。
これまで英語の勉強を頑張ってきて、全ての単語を知らないというわけではないですよね?
ざっと見てみて、「これはなじみのない単語だな」と思うものだけピックアップします。最初は数十から多くても200単語くらいから始めてみてください。
そして次が重要なところなのですが、話題のAIツールを大いに活用しましょう。ChatGPTに例文を考えてもらいます。
その時に、例文を工夫するように指示します。
例えば、好きな俳優や漫画のキャラクターなどを使って、ちょっとバカバカしいシチュエーションの一文を作ってもらうと頭の中にイメージが浮かびやすいので定着しやすいです。
ちなみに筆者が使ったプロンプト(入力する質問のこと。この場合は指示文)はこちら。(今時アイディアマンって言うのかどうか(汗))
【英単語】は下にエクセルにまとめた英単語と日本語訳をコピペ、【人物リスト】は使ってほしいキャラクターを一文ひとりで男女別に羅列したものです。
あなたはアイディアマンです。
以下のすべての【英単語】について順番に、【人物リスト】から必ず1-2人を使ってシンプルで面白く暗記しやすい英文をそれぞれの単語の代表的な意味で一文ずつ作ってください。
例文では、英単語の後ろの日本語の意味の文章を作ってください。アウトプットは表にして、列は左から順に、番号、単語、英文、日本語訳にしてほしいです。英文の中の単語の難易度は、挙げた単語リストのものが最も難しいレベルにするようにしてください。
うまくいかないなと思ったら色々と指示文を変えて試してみてください。
そしてChatGPTに表にしてもらった例文と日本語訳をエクセルの列に加えます。
いよいよAnkiに登録していきますが、まずAnkiを使う時の前提として、登録はウェブからPCにダウンロードしたAnkiソフトに行います。そして実際に練習するときはアプリを使います。
Ankiに単語を一気に読みこませるために、エクセルをcsvファイルに保存するといいようなのですが、個人的にうまくいかなかったため、いつもエクセルにまとめたものをメモ帳にコピペしてメモ帳ファイルを読みこませています。
またこれはお好みなのですが、筆者は単語のみの日本語訳は入れず、
英単語、例文、例文の日本語訳
の3点を最終的にメモ帳にコピペしました。
詳しい登録の仕方についてはこちらで詳しく説明されているのでご覧ください。
登録後、覚えたい単語ごとにワンセットができたら、Ankiの真骨頂、なんと英語音声を自動で追加することができます。
機械音声ではありますが、実際の発音を確認したり例文を覚えやすくするために、音声追加はマストです。例文の音声を作っていきます。
音声の入れ方についても同じ方が分かりやすく説明されています。
音声を入れたら完成です!お疲れ様です!アプリの方から同期をすると学習を始められます。
ちなみに…
本当は単語はTANZAMアプリみたいに画像があるとさらに直感的に記憶に残りやすいので、もし余裕があったらペイントなどで簡単に絵を描いてみたり、ネットで単語を打ち込んで出てきたイメージ図を入れてみたりすると覚えやすくなります。
しかしここでも完璧主義は禁物です。
ネットで画像検索すると果てしなく時間がかかるので、今回はChatGPTに例文を作ってもらうところで終わりにしています。
アプリを始めたばかりの頃はなかなか覚えられず、一回に何度も同じ単語を見ることになると思います。日によってはノルマの数がどんどん増えていってうんざりする、ということもあるかもしれません。
しかし、すぐに忘れて何度も何度も見返すハメになる単語も、ふとしたときにすぐ頭に思い浮かぶ瞬間が来ます。
これを繰り返せば知っている語彙を着実に増やしていくことができるので、地道ですが続けてみてください。
英語のロジカルな話し方に慣れる
顔の筋肉も温まってきて、ある程度の語彙もインプットできたら、いよいよアウトプットの準備です。
まず英語で使われるロジカルな構成を理解して、自分でも自在に使えるようにします。
既にご存知かもしれませんが、ロジカルな構成とは以下の通り、まず自分の意見をスパッと言い切ってから、なぜそう思うのかについて根拠となる具体例や説明を加えていき、最後に主張を繰り返します。
トピックについて
意見
その理由①+詳細or具体例
その理由②+詳細or具体例
まとめ
こちらの動画では体系立てて話す話し方の概要を説明しています。
メインアイディアを決めてから、そのサポートを3つ考えます。
サポートは5Wの中から3つ選んで作ると簡単にできます!
こちらの動画でも明確に表現するための4つのポイントを紹介しています。
まずキーメッセージを考える。
次にアイディアを整理しておき、これからそれらを伝えることを共有する。
メインアイディア
根拠となる詳細3点
要約して繰り返す
聞いた内容と話した内容は明確に理解する・相手が理解できるように努める。
難しい単語を使うよりも、現在知っている表現を素早く使って説明できる瞬発力を鍛える。(言い換えや説明が大切)
このロジカルな構成はもしかするとライティングで意識したことがあるかもしれません。ちなみにライティングやスピーキングのみならず、リーディングやリスニングも基本的にこの構成に従っているので、これを意識するだけで英語の資格試験のリーディングやリスニングが解きやすくなります。
オンライン英会話で実際に人相手に話してみる
目標にたどり着くにはいかにシミュレーションを重ねるかが大切です。
理屈をいくら覚えても実際に使ってみたら真っ白になってテンパったり詰まったり。
大事な仕事や資格試験の場でこのような状況をできるだけ避けるためにも、日頃の素振りは欠かせません。
逆に言えば、練習ではいくらでも失敗していいんです!
最近ではAI相手に練習できるアプリや英会話教室もにぎわっていますが、それらはあくまでも補助的な役割として、できればメインではリアルな人相手に練習を重ねることをおすすめします。
なぜなら最初に書いた通り、目的は「コミュニケーションをスムーズに行えるようになること」だからです。そのための「自分の意見を言う」とは、もちろん一人でもある程度の長さを話し続けるスキルを鍛えていくわけですが、一方的に言いたいことを言って終わり、というわけではありません。相手の反応によってはもっと面白い方向に展開していく可能性があります。
また、面と向かって自分の力の限り話してみた後に直接もらうフィードバックは記憶に残りやすいです。おすすめは指摘された発音や表現をその場で使ってもう一度言ってみること。
コミュニケーションをスムーズに行えるためには、相手に明確に伝える工夫をしよう、という意識を持つことが欠かせません。
レッスン前にAIなどを使ってロジカルに文章を組み立てて1分スピーチをしてみるという使い方は良いと思いますが、言いたいことだけ言うのをコミュニケーションの練習のスタンダードにするのは、個人的にとても危惧しています。
ただ対面でどこかに通うというのも時間や費用がかかりすぎます。週に1度くらいだと頻度も少ないですし。
そうするとおすすめは手ごろな金額のオンライン英会話をできるだけ毎日受けること。
毎回きちんと構成を考えながら1分スピーチをする必要はないんです。各オンライン英会話で出している教材を使って決まったフレーズを練習してみたり、映画で出てきた表現について質問したり使ってみたり、とにかく気負わず毎日話す習慣をつけるというスタンスです。
日頃は楽しめる教材を使ってストレスなく話してみて、必要なら資格試験対策や仕事への対策としてまとまった英語を話す練習をしてみる。
大事なのは復習(できれば予習も)です。レッスンが終わるごとにエクセルでもなんでもいいので感想や言えなかった・指摘された表現をメモしておく。そして次のレッスンの前にざっとメモを見直します。
とにかく楽しく続けることが大事なので、オンライン英会話はいくつか無料体験などで試してみて、ご自分に合ったところを選んでみてください。
できるだけ毎日受けられるか、その時の料金は続けられそうか、講師の質は高いか、教材は自分に合っているか・もしくはこちらで決められるか、などを基準にすると良いと思います。
ただ、例えば講師の質というのは教室と言うより属人的なものである場合が多いです。
筆者は長くDMM英会話を続けていますが、講師の当たりはずれは必ずあります。
できるだけホスピタリティ精神があり、こちらの言うことをきちんと聞いて間違いをその都度指摘してくれる講師を選びたいところですが、中にはただ25分のレッスンを教材通りにこなして終わり、という講師もいます。そんな時はもうその講師は取らない、できるだけお気に入りの先生の数を増やしてリピートするようにする、という対策を講じています。
またTOEFLやIELTS、英検対策などあらかじめ目的がはっきりしている場合は、その対策に特化したオンライン英会話を受けるという手もあります。
お値段は張りますが、講師はすでに資格試験の情報をきちんと把握しており、押さえておくべきポイントも分かっているので指摘も明確です。
筆者は英検1級の面接対策でマイチューターというオンライン英会話を利用しました。
1回のレッスンで面接1回分を演習して改善点を指摘されるというサイクルで、直した方がいいクセや感じのいい聞き直しの表現などを教えてもらっていました。
ちなみに自習用のサブツールですが、最近はDMM英会話でも「AIロールプレイ」という機能が追加されました。ChatGPT搭載で日常生活や職場など様々なシチュエーションで英会話のロールプレイができます。
ここではスピーキングだけでなく書き込みも可能です。現時点では無料会員登録をすれば使えるようです。こちらが話した内容を文字化して、それをChatGPTが判断して反応してロールプレイをしてくれますし、終わったら文法ミスなどを指摘してくれてよりナチュラルな言い方を教えてくれます。
まだぎこちない会話ではありますが、こちらのつたないスピーキングに対して実際の意図をくみ取ってくれている気がします(笑)。
練習したいシチュエーションがあれば繰り返し練習するとかなり力が付くでしょう。
忙しくても挫折しないコツ
ここまで自分の意見を主張して「コミュニケーションをスムーズに行えるようになること」を目的にひとりで勉強する方法をお伝えしてきました。
最後に、そうはいっても忙しい社会人。しかも英語が最優先とは言えない状況でもどうしたら挫折せずに勉強を続けていけるのか?
大前提は「楽しく」ですが、筆者のこれまでの経験からうまくいっているものをアイディアとして3つご紹介します。
細切れの時間を使えるように、あらかじめ時間ごとにやることを決めておく
〇分あったらこれをする、とあらかじめ決めておくとスキマ時間も有効に使えます。
5分あったらYouTube見ながら顔や喉のウォームアップ、10分ならAnki、15分ならAI相手に英会話…などなど。
時間が出来た時サッと始められます。
ちょっと今日はやる気が起きないなという日はあると思いますが、短い時間でも何か始めるとだんだん気分が乗ってきて、意外と長時間勉強を続けられたりします。
また何か決まったことをやる時間を固定しておくのも有効です。例えばオンライン英会話ではレッスンを受ける時間を夜の9時などと決めておいて、終わったらもう次の予約をしておくと「つい億劫になってサボりがち」という状況を避けられます。
毎日の習慣に組み込む
新しいことを習慣にしようと思ったら、既に習慣になっているものと一緒に行うとハードル低く続けられます。
例えば、ジムにいる間にオーディオブックのリスニングをしてみたり、化粧水などつけているときに顔の筋肉を鍛えたり。
また毎朝起きてもなかなか布団から出られないようだったら、布団の中からBBCアプリなどを開いてニュースを聞いたりオーディオブックを聞くのもおすすめです。
成果を数値化・可視化してモチベーションを維持する
英語の勉強がなかなか続かない理由の一つに、
長期間勉強していても成長がほとんど実感できない
というのがあるのではないでしょうか。
特に始めたばかりだとなかなか言いたいことは言えるようにならなくて時間のムダなのではと思い始めますし、中級者でも、何年も勉強しているのに一向にペラペラにならないとフラストレーションがたまり
「今すぐ英語が必要なわけではないからもういいや!」と挫折に繋がります…。
しかし実際には、自分ではなかなか分からなくても少しずつ着実に前進している途上なのです。
TOEICみたいに点数が分かれば続けられるのに…。
ならば、今の英語力を数値化してみましょう!
以下にご紹介するのは、スピーキングを即座に判定してスコアを出してくれるもの。(最近のテクノロジーは素晴らしいですね)
ELSA Speak:発音のみ。基本的に提供されたレッスン内での単語や文章の発音をチェックします。無料でも制限付きで利用可。
PROGOS:無料アプリ。将来的に有料になるらしいですが時期は未定です。ビジネス英語を中心に20分ほどのテストを受けてそのフィードアップを2分くらいでくれるというすぐれもの。B2 Highレベルまでを測定可能。最近始めたばかりですが、計測・可視化ツールとしてはフィードバックも充実していてかなりよさそう。ただ、TOEFLスピーキングのビジネス版といったところで、かなり疲れます(笑)。
ELSA Speech Analyzer:有料ですが、とてもおすすめ。何でも自分の好きな内容を吹き込んだり録音したmp3ファイルなどを読みこませると、総合レベルのほか、発音・イントネーション・流暢さ・文法・語彙の5つの観点からレベルとチェックするべきポイントをそれぞれ教えてくれます。何度も行うとだんだん自分の傾向やウィークポイントが分かってきます。また備え付けの問題もあるので、何を話していいか分からない場合も練習問題に事欠くことはありません。TOEFLの問題はいっこうに作ってくれないのですが(1年待ち続けてる)、IELTSと英検の問題演習があるので対策に便利。TOEFLの場合も自分で録音したものを読みこませれば改善点を教えてくれます。どんな文章に対しても目安としてTOEFLやIELTSの点数を出してくれるので参考になります。最近はChat GPTも搭載されてより自然な表現を生成してくれるので、手軽に表現のストックを増やすことができます。無料で30分のお試しが可能。ちなみにELSA Speakで登録したメールアドレスに数か月おきくらいに割引のお知らせが入ってくるので、慌てて買わなくても大丈夫です。
まとめ
かなり長くなってしまいましたが、この記事では忙しい社会人でも独学で英語を話せるようになる方法をご紹介しました。
まとめると
- 口を英語に慣らす:英語を発しやすい筋肉や喉をつくる。
- 単語や表現のインプット:楽しく記憶して表現の幅を広げる。
- 英語のロジカルな話し方に慣れる:意見を主張できる型を覚える。
- オンライン英会話で実際に人相手に話してみる:ひたすら素振りをして本番に備える。
- 忙しくても挫折しないコツ:忙しい合間に英語の勉強を楽しめる体制を整える。
英語のスピーキングは多くの日本人が苦手とするところです。しかもここまで覚えれば大丈夫という類ではなく、なかなか上達を実感できません。
だからこそ、自分の意見をなんとか言えた、相手とコミュニケーションが取れている、と思えた時、嬉しさもひとしおです。
ぜひ、楽しく根気よくB2レベルを目指して練習を続けてください。