洋書を挫折しないで読破するコツと選び方のポイント

英語学習

英語を勉強してきて、ある程度、語彙力や文法は身についた!
英語に触れるのが苦ではなくなってきたし、むしろ楽しくなってきた!

そんな中級者の方がさらに楽しく英語のスキルアップをするために、ぜひ洋書にチャレンジすることをおすすめします。

ドラマや映画の原作、もしくは古典の名著など一度読んでみたいと気になっている本はありませんか?

実際に作者がどんな単語を登場人物に話させていたのか、どんな構成で話を盛り上げていったのか…。
大好きなドラマや映画の原作を読むと、作者の意図や文化的な背景など必ず新しい発見がありますし、多読をして生の英語に触れることでどんどん世界が広がっていきます。

日本語で読むように英語を読めるようになったら入ってくる情報量は格段に増えますし、何より英語のスキルが上がっていくのを実感できるでしょう。

しかし、読み慣れていないと洋書は難しいもの。
せっかく読み始めたのに挫折をしてしまって「やっぱりネイティブ向けの洋書は無理だ」と諦めてしまってはもったいない!

この記事では、挫折してしまう理由を解説し、洋書を挫折しないで読み終えるためコツをご紹介します。

なぜ洋書を読破できないのか?主な5つの理由

読み終えられず挫折してしまう理由は様々ですが、以下の5つの要因が関係していることが多いです。

興味の欠如

慣れない洋書を読み終えるためには、テーマに対する興味と読み終えようとするモチベーションが必要です。おすすめされた本をなんとなく読み始めてみたけれど、どうしても興味が持てないと途中で投げ出してしまうことがあります。

長期間の集中力維持が難しい

読書というのは自分の目で追いながら頭の中で内容を理解する能動的な作業です。
これは日本語の本でも同様ですが、普段読書する習慣が無いとじっくりと本を読むというのが難しいかもしれません。

読解力の不足

普段からまとまった文章を読み慣れていないと、文法知識がきちんとあっても文章の構造を把握したり文脈から単語の意味を推測することが難しいです。
そのため長い文章を読んでいくとだんだん意味が分からなくなってきてしまいます。

テーマが難しくてついていけなくなる

文章の構造も単語も難しいのに加え、やたら複雑な人間関係や心理描写があったり、日本語でも理解が難しいようなテーマを読み慣れないうちに選んでしまうと、理解できず途中で諦めてしまいます。

ボキャブラリーの不足

最後に書きましたが、洋書にチャレンジして最初に痛感させられるのがボキャブラリーの少なさではないでしょうか。
英会話とは異なる表現や専門用語が多く出てくるうえ、ほとんどがネイティブ向けなので難易度も表現の幅も上がってきます。
そのため、かなりの語彙力が求められます。読んでいて分からない単語ばかりでなかなか読み進められないとそのうちいちいち調べるのが面倒になり、途中で諦めてしまいます。

洋書を選ぶ際のポイント

洋書を読み始めるときには、自分に合った適切な本の選び方が重要になってきます。
選ぶ際に以下のポイントを考慮することで、スムーズに読み進めることができます。

読みたいもの、もしくは読まなければいけないものを選ぶ

何より自分の読みたい本を選ぶことが肝心です。
大好きな映画やドラマの原作や、日本語で何度も読んでいるお気に入りの本の原作など、少々難しくても最後まで読んでみたいと思えるような本選びをしてください。
もしそのような本が思いつかない場合は、仕事や話題作りで必要に迫られている本に挑戦してみましょう。

短めの分量を選ぶ

最初に読む洋書として、いきなり電話帳のような分厚さの洋書はおすすめしません。
ハリー・ポッターを是非読んでみたいということであれば挑戦していいのですが、最初は短めの分量を読んでみて「読み終えた!」という達成感と自信を積み上げていくのをおすすめします。
どんどん楽しくなってきます。

原作のオーディオ版を入手できるもの

こちらは必須ではありませんが、今回ご紹介する方法では音から慣れていくのが重要なパートですので、オーディオブックなど音源が手に入る本をおすすめします。

日本語訳の本がある、もしくは映画・テレビドラマ化されているものを選ぶ

あらかじめ大筋をつかんでから英語で確認していく、というのが挫折しないで読破する重要なポイントです。
またどうしても分からない箇所の答え合わせという意味でも日本語訳で確認出来るのは洋書初心者には大事になってきます。
もちろん慣れてくればまだ日本語訳が出ていない洋書にもどんどんチャレンジしましょう!

kindleで読めるもの

こちらも必須ではありませんが、kindleはとても便利なツールです。
個人的には電子書籍よりも紙派なのですが、kindle unlimitedでの豊富なラインナップや辞書を引く手間が省けるなどのメリットは見逃せません。
今回は特に読み進めるときに分からなかった単語や文章に印(ハイライト)をつけておくと後で確認したりピックアップしてまとめたりするのに便利なのでおすすめします。

洋書の読み方のコツ シャーロック・ホームズ”The Adventure of the Blue Carbuncle”を参考に

チャレンジする洋書を選んだら、さっそく読んでいきましょう!
今回はコナン・ドイルのシャーロック・ホームズシリーズ”The adventure of Sherlock Holmes”の中から短編”The Adventure of the Blue Carbuncle”を読み進めながら説明していきます。
こちらは『青い紅玉』のタイトルでドラマ化もされています。
小説は好みがありますが、ちょうどよい分量でまだ洋書を読み慣れていない人にはおすすめです。

はじめに、洋書を読もうとするとき前提として以下の2点を意識してください。

1.一度で理解しようとしない。
洋書を効果的に読み進めるためには一度で全てを完璧に理解しようとするのではなく、繰り返し読み進めることが重要です。
何度も読むことで、ぼやけている画質が粗い画像がどんどん鮮明になっていくイメージです。
最初から完璧に理解してから次に行こうとすると時間がかかりすぎて挫折してしまいやすいです。

2.最初に映画・ドラマ、もしくは日本語訳で大まかなストーリーを理解しておく。
あらかじめ全体の流れを把握することで全く内容が分からなくなってギブアップする、という事態を避けられます。

そして実際に読み進める際、おすすめは以下の順番です。

・オーディオブックを繰り返し聴く。

・分からない単語や表現に印(ハイライト)をつけながら読んでいく。

・ハイライトをつけた箇所を調べていく。

・kindleの場合、ハイライト箇所をPCからエクセルなどにまとめる。(余裕があれば)

・Ankiなど後で復習できる準備をする。(余裕があれば)

・再度、オーディオブックを聴く。

オーディオブックを繰り返し聴く

まず、オーディオブックを繰り返し聞くことで脳を音で浸します。(英語学習でリスニングを最初にする有効性は別記事で紹介しています。)
リスニングだと分かっても分からなくてもどんどん先に進むので、読書ほど労力を使わずに始められるというメリットもあります。
ただストーリーが分かっているとはいえ、速いし単語は難しいしで最初は面食らうかもしれません。
しかし繰り返し聞いていくうち、全部が全部聞き取れないわけではなく簡単な単語を使った短文が聞き取れることに気付くと思います。
そうすると集中力が増していき聞き取れる部分が増えるのでどんどん楽しくなっていきます。

分からない単語や表現に印(ハイライト)をつけながら読んでいく

この時は印をつけるだけで、分からない単語や表現があっても我慢して調べずに読み進めてください。
あくまでも自分がどこが分からないかを把握するためのものなので、とにかくまずは読み終えることに集中してください。
分からない単語は青色、文法的に読み取れない文章をオレンジ色、など色を分けると後で確認しやすいです。
この色を変えるという機能がアプリでしか使えないようなので挙げていますが、PCやkindleタブレットでもできるようならそちらでも構いません。「一色でいける!」という場合も同様です。

ハイライトをつけた箇所を調べていく

少し面倒ですが、辞書の訳をコピーして該当の単語のメモに貼り付けると後でまとめるときに便利です。
いったん単語の意味を調べたら、実際にその単語を暗記して使えるようにするために、前後の前置詞や目的語などをまとめてマーカーを引き直してかたまりで覚えるようにします。
文章の中でどんな使われ方をするのかが分かると記憶に残りやすいです。

kindleの場合、ハイライト箇所をPCからエクセルなどにまとめる(余裕があれば)

作業も完璧主義を目指すとなかなか次に進めなくなってしまうので注意が必要です。それでも他の洋書で同様の表現や単語が出た時に対応できるようにするには、分からなかったらその都度調べた後に暗記するという作業が欠かせません。こちらのリンクからkindleアプリの色別のメモやハイライト一覧を見ることができます。テキストなのでコピーも可能です。

Ankiなど後で復習できる準備をする(余裕があれば)

エクセルにまとめたボキャブラリー一覧を定期的に復習するために便利なツールです。
定期的に見直す仕組みを作っておくことで、長期的な記憶の定着が期待できます。

再度、オーディオブックを聴く

仕上げに再度オーディオブックを聴きます。かなり詳細な部分まで聞き取れるようになっているはず!

以上の方法を実践することで、挫折することなく洋書を楽しむことができるようになります。できそうなところから、ぜひ試してみてください!

【おまけ】原作解説書は有効?楽しく読破するための選び方

「好きな作品を丸々一作読みたい!」という向上心あふれる英語学習者向けに、名著を日本語訳付き、最近は豪華にも音源付きで一冊にまとめた書籍が多数発売されています。
このような書籍は難しい単語に日本語訳をつけてくれたり文法の解説をつけてくれたりと至れり尽くせりで、興味のある作品を英語で挑戦したいというときに強い味方となってくれます。
ただ最初に気を付けていただきたいのは、中には原文のままではなく、あくまでも教材としてリライトされている作品も多くありますので著者を確認するようにしてください。

また、このような解説書を選ぶ際に最も大切なポイントは、

・自分の原作を読む目的に合っているか

ということです。

実は、今回記事で取り上げた”The Adventure of the Blue Carbuncle”を選んだのは、『シャーロック・ホームズで学ぶ英文法』という素敵な解説書を見つけたためでした。

もともとドラマのファンでしたし、『青い紅玉』はお気に入りのひとつです。(表紙もかっこいい)

しかし結論から言うと、シャーロック・ホームズが大好きで原文に挑戦したい!という方にこの解説書はおすすめしません…。その理由としては、

・朗読音声のナレーションが演じ分けできていない
ナレーターはイギリス出身者らしく低音のいい声です。しかしいかにも朗読といった感じで単調な箇所が多く、ふと「今、誰が話しているんだっけ?」と混乱することがありました。
上記の通りリスニングから始める作戦でしたので、ラジオドラマとまではいかなくてももっと明確に演じ分けをしてほしかったです。

そのため文章を目で見て確認してからこちらのイギリス英語を締めに聞くことにしました。
・英文に下線やマークが多く、読み進めにくい構成
文法や解釈のポイントの解説を入れるために、とにかくごちゃごちゃした構成になっていたのが残念です。別冊にしてほしい…。
原文に集中して読むためには一度まっさらな文章で読みたかったため、kindleを選択しました。

・一冊で完結できない
解説を読んでいると、よく目についたのが「くわしくは『○○で学ぶ英文法』を読んでください。」というフレーズ。
英文法シリーズを通して読んでいるのではなく、ホームズだから読みたかったのに…。

・テンションが上がらない
シャーロキアンの方も入っていたようですが解説の例文も特にホームズに関係ないものが多く、ホームズファンが喜ぶ豆知識もほぼ皆無で、「シャーロック・ホームズの原文に挑戦したい!」という人には若干期待外れの内容でした。

…と、長々と不満を書いてしまいましたが、結局こちらは高度な英文法の解説書だったのでターゲットが違ったようです。
ホームズファンというよりも、英文法を極めて正確な翻訳ができるようになりたい!という人のためでした。残念ながら筆者はターゲットではありませんでした…。
実際、英文法についてはついつい見落としがちな箇所も拾い上げて、どう解釈するのが正しいのかというのを詳細に解説されています。
そのため上級者向けの英文法解説書シリーズのうちの一冊として読むことをおすすめします。

そのため、もしも筆者と同じようにシャーロック・ホームズシリーズが大好きで原文を楽しみたいという人には、『英語で味わうシャーロック・ホームズ名作短編集』をおすすめします。

『赤毛連盟』『まだらの紐』『ボヘミアの醜聞』の3作を扱っており、それぞれ対訳と簡潔な文法解説がついています。
またシドニー・パジェットの挿絵や当時の社会背景などの説明もあるので、ホームズファンにはたまらないでしょう。(人物像についての解釈は賛同できない部分もありますが。)

洋書を読むにあたっては、自分は何を楽しみに読みたいのか目的をはっきりさせることをおすすめします。そうすることで教材の選び間違いによって読む気が無くなってしまった、という残念な挫折を防ぐことが出来ます。

さて、ここまで原作を最後まで読むコツをご紹介してきました。
しかし、もしも「やっぱりまだ自分には原文は難しい」と思われるようなら、焦らず学習者向け書籍を多読して英文を読むことに慣れていってください。
例えばラダーシリーズで出ているホームズシリーズもかなり面白いのでおすすめです。

タイトルとURLをコピーしました