初級レベルのスピーキングを脱出したい人へ。練習で意識したい7つのステップ

英語学習

はじめに

英会話をしているとき、簡単な単語や文法ばかり使ってしまい、言いたいことが的確に言えずにがっかりしていませんか?

「ライティングならもっと具体的に分かりやすく表現できるのに……。」

文法や構文はきちんと理解しているし、語彙だって極端に少ないわけじゃない。それなのにいざスピーキングとなると中学生レベルの文しか出てこない……。be動詞と一般動詞を一緒に言ってしまうし、簡単な単語ばかり使ってしまう。せっかく真面目に勉強しているのにスピーキングが思うようにできないと上達が感じられず、モチベーションも落ちてきてしまいます。

流ちょうに話せるということは、必要に応じて複雑な英文もスムーズに組み立てられるということです。

英文を素早く組み立てられるようにするためには、どのように練習したらいいのでしょうか?

筆者も流ちょうに話すことに関しては非常に苦戦しています。それでもポイントを意識することで話す内容を明確にすることができ、複雑な文章を頭の中で組み立てることについてもだいぶ慣れてきました。

そこで本記事では英語スピーキングの練習方法として、まずスピーキングの際に意識してほしいポイントを説明し、その後に具体的にどのような順番でステップアップしたらいいのかを、シャーロック・ホームズで例文を作成しながらご紹介します。(ホームズファンです)

聞く側も、話す側も迷わない話し方

大切なことからシンプル、ダイレクトに伝えるプレイン・イングリッシュとは?

ポイントとしては、「プレイン・イングリッシュ」で話すことを意識してください。

プレイン・イングリッシュとは、簡潔でシンプルな英語表現のことです。聞き手も理解しやすいですし、話し手も伝えたいことをシンプルかつ的確に伝えることができます。

プレイン・イングリッシュの3つのポイント

「プレイン・イングリッシュ」で大切なことは3点あります。

  1. 言いたいことのポイントは何かを明確にする。
  2. 大切なことから伝える。
  3. 一息サイズの長さで、短くシンプルにダイレクトに表現する。

(参照:浅井満知子著『伝わる 短い英語 新しい世界基準 Plain English』)

例えば、以下は『シャールク・ホームズの冒険』に収録されている”The Adventure of the Blue Carbuncle(青い紅玉)”の冒頭です。

I had called upon my friend Sherlock Holmes upon the second morning after Christmas, with the intention of wishing him the compliments of the season.

これをプレイン・イングリッシュで書き直すと以下のようになります。

I visited my friend Sherlock Holmes two days after Christmas to wish him a happy holiday season.

複雑なイディオムや単語を避け、スッと入ってきやすい文章になっています。

またこちらのTED動画では、平易な英語を使うメリットや使い方の例を分かりやすく解説しています。「シンプル・イングリッシュ」と言っていますが、考え方は同じです。

動画 Simple English for Everyone | Yukiko Nakayama | TEDxKyotoUniversity

必要なレベルとは?

「結局、初級レベルで話せってこと?」と思うかもしれませんが、少し違います。

注意していただきたいのは、

複雑な英文  理解するのに時間がかかる難解な英文

ということです。ここでの複雑な英文とは、言いたいことをより具体的に、明確に表現していることを意味しています。格調が高くても相手に伝わらないのでは意味がありません。

まず、言いたいことを明確にすること。情報を整理しないまま話し始めると、自分でもだんだん何を言っているのか分からなくなってしまいます。

そして相手ありきのコミュニケーションだと意識すること。相手に誤解を受けず、興味を持ってもらって分かりやすく伝える姿勢が重要です。

これらを考慮すると、自然と、必要な英文の長さも決まってきます。

初級レベルの単語だけ並べて伝わるのか、もっと構文を使った方が理解されやすいか、と考えると、やはり話すレベルをアップさせて自在に使い分けられるようにする必要があります。

英文を長くするときに意識したいこと

He runs.
のような、主語(subject) + 動詞(verb)のみの文章ばかり言ってしまう。
そんな時、どうしたらもっと複雑で知的で、はっきりと言いたいことを言い切れるのでしょうか?
意識してほしいのは、

“What comes next?”(次に何が来るの?)

ということです。情報をもっと正確に分かりやすく表現するためには、次に何を足していけばいいのかを考えてみてください。

以下の動画はsentence structureについて分かりやすく解説しているので、ぜひ見ていただきたいです。

動画 English Sentence Structure – English Grammar Lesson

動画でも説明していますが、文を長くする方法は以下の通りです。

・元のS+Vなどの文型は変えず、形容詞(adjedctives)や副詞(adverbs)を足して情報を増やしていく。
・接続詞(conjunction)を使って文章を伸ばす。
・who, which, whatといった関係節(relative clause)を使う。

では実際にこれらを使って文章を長くするには、どのように練習していったらいいのでしょうか?

英文の組み立ての難易度を上げていく7つのステップ

接続詞も関係節も文法の知識としてはしっかりあると思います。

それらを使いこなすために、以下の7つのステップを順番にマスターしてください。

7つのステップ

Step 1: 基本的な英単語と文法を使った簡単な文を作る
Step 2: より高度な単語と構文を使った文を作る
Step 3: 同じ意味を表す異なる単語を使用した文を作る
Step 4: 同じ文法パターンを使って、異なる内容を表現する文を作る
Step 5: 2つ以上の文を結合して、複合文を作る
Step 6: 複雑な文法を使った文を作る
Step 7: 仮定法、条件法、間接話法などを含んだ文を作る


それぞれのステップで何を意識すればいいか説明していきます。

Step 1: 基本的な英単語と文法を使った簡単な文を作る

Step1では英文組み立ての基礎を固めるために、やさしい単語とやさしい構文(文法)を使って簡単な文を作ります。ここで大切なのは、文法ルールを理解することです。

例えば、「I eat rice for breakfast.」という文は、
主語(I)+動詞(eat)+目的語(rice)+前置詞(for)+時間帯(breakfast)
という基本的な文法ルールに従って構成されています。

このステップでは、自分が知っている簡単な単語を組み合わせて、簡単な文を作ります。
例えば、「I like apples.」、「He is tall.」、「She has a cat.」などです。

簡単な文を作ることで、基本的な文法ルールを理解して慣れ親しんだ基本単語を使って話せるようになります。

例: Sherlock Holmes is a detective. He solves crimes.

Step 2: より高度な単語と構文を使った文を作る

基本的な英単語と文法を使った簡単な文を作ることができるようになったら、次にはより高度な単語や複雑な構文を使った文を作ってみましょう。自分の英語のレベルも上がりますし、より正確かつ表現力豊かな英語を話すことができるようになります。

より高度な単語や複雑な構文を作るって、具体的にどうすればいいの?という時に、以下のヒントを参考にして下さい。

・新しい単語を学ぶ。
・形容詞や副詞を使って表現の幅を増やす。
・前置詞を正確に使う。

例: Sherlock Holmes is a great detective. He‘s really good at solving hard cases.

Step 3: 同じ意味を表す異なる単語を使用した文を作る

同じ意味を表す複数の単語を知っておくと、より正確な表現をすることができます。同じ単語を何度も使うことはあまり好まれません。何度も”good”を多用すると、言ってる方も聞いている方もうんざりしてしまいますが、”great”や”excellent”などの同義語を文脈に応じて使い分けると表現の幅が広がります。

例: Sherlock Holmes is a famous investigator. He’s really good at figuring out difficult cases using his strong sense of observation.

Step 4: 同じ文法パターンを使って、異なる内容を表現する文を作る

以下の例は簡単な S + V + O を使ったものですが、Step5, 6,7と進めていっても同様に自分で作ってみてください。一度自分で作る練習をしておくと記憶に残りやすくなり、話そうと思ったときにスッと口をついて出てくるようになります。

例: Sherlock Holmes solved many cases. He used his sharp observation skills and his clever thinking to find out what happened to a lost diamond and a stolen artwork.

Step 5: 2つ以上の文を結合して、複合文を作る

まずは一文として意味が通る独立した文をandやbutなどの接続詞(conjunction)を使ってつなぎ、より複雑で意味の深い文章を作ります。andやbutは比較的作りやすいと思います。慣れてきたらbecauseを使って因果関係を明確にする練習もしていきましょう。

例: Sherlock Holmes worked alone most of the time, but sometimes he teamed up with the police to solve really hard cases. He liked this because he could get help from them and they could share information.

Step 6: 複雑な文法を使った文を作る

例1: Even though he was a great detective, Sherlock Holmes sometimes had trouble with really difficult cases, like the one with the strange symbols that seemed to be dancing.

例2:Sherlock Holmes, who was a brilliant detective, solved many complex cases.

例3:The room in which Holmes found the crucial evidence was locked from the inside.

Step 7: 仮定法、条件法、間接話法などを含んだ文を作る

仮定法や条件は苦手意識のある人も多いのではないでしょうか?
一見、文法が複雑に思えても、作り方はシンプルです。使いこなせると表現の幅がグッと広がるので、一度作ってみてください。

また、関係代名詞(that, which, whoなど)や副詞節(when, where,whyなど)を使って複合文を使ううちにどんどん文が長くなりネイティブっぽくないなと思ったら、名詞節などにも挑戦してみてください。

例: If Sherlock Holmes were alive, he would probably be amazed by the technology we have today, but he might also be a little disappointed that the basic principles of human nature haven’t changed much.
I can imagine him saying something like, “The methods may have changed, Watson, but the motives remain the same.”

次のステップへとレベルを上げていくためにやること

以上、具体的な7つのステップをご紹介しました。
普段はどのレベルで話すことが多いですか?

もしステップ1が多いようなら、まずステップ2を意識してadjectivesやadverbsを足すことを心掛けてください。

ステップ3でも同様ですが、他の言い回しや、より難易度が高い単語を調べるのは類語辞典が有効です。話しているときに「もっとピッタリの言い方があるんじゃないかな」と思ったら、メモしておいて後で調べて他の場面で使ってみる。かなり地道な作業ですが、積み重ねていくと自分のボキャブラリーがかなり増えていることに気付きます。

そしてステップ4では同様の文法で違う内容を作ってみる。このステップは5以降に行ってもまた戻って挑戦することで、表現力を高めることが出来ます。

ステップ6や7は、もし文法の知識が曖昧で使うのに自信が無いなと思ったら、その都度復習することをおすすめします。

いきなりスピーキングで使えないと思ったら、まずは文章を書き出してみてください。上記のシャーロック・ホームズの例のように、好きなキャラクターを使って文章を自由に作ってみると案外楽しく練習できます。

そしてどのステップでもプレイン・イングリッシュを意識してください。

おすすめの練習素材

そうは言っても、なかなか話せるようにならない!という方におススメの教材をご紹介します。

『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』
『ポンポン話すための瞬間英作文 パターン・プラクティス』

英語学習者なら一度は聞いたことがあるし使ったこともあるかもしれない教材ですが、プレイン・イングリッシュを一から練習しようと思うと、特に第一弾の『どんどん話すための瞬間英作文トレーニング』は中学1年レベルから中2、中3とレベルが上がっていき複雑な文章になっていくという点で最適です。

そして色々と続編がある中で筆者がおすすめしたいのは、『ポンポン話すための瞬間英作文 パターン・プラクティス』です。同じ文法を使いながら主語や動詞などを入れ替えたり肯定文を疑問文に変えたりする練習ができるので、反射的に自分で英文を作れるようになります。例文の一部だけを変えていくので、内容自体が変わる例文の日本語に引っ張られずに、英語で考えて文法を変化させていくのでより実践的です。

まとめ

以上、スピーキングの初級レベルでの伸び悩みを解決するための練習方法についてご紹介しました。

重要なのは、いかに適切な表現で相手に理解してもらえるか、ということです。

難しい単語や文法を使おうとして何を言っているのか分からなくなるのは本末転倒です。自分自身が何を伝えたいのか明確にすることをファーストステップとして、適宜文章を複雑にしていくという手順で練習していってください。
結局流ちょうに話せるようになるには、語彙を増やし、文法の知識を強化し、毎日独り言でもオンライン英会話でも話し続ける。
かなり地道な作業なのでなかなか上達が実感できずイライラすることもあるかもしれません。
かなり地道な作業なのでなかなか上達が実感できずイライラすることもあるかもしれません。

そんな時、「でも、もうステップ2までは自然にできるようになったな」など、今回ご紹介したステップをマイルストーンとして使ってみてください。

流ちょうに話せるようになるときを目指して、一緒に頑張りましょう!

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